■強くなったインドネシア「最終予選」進出も…

 最近は東南アジア勢も力をつけてきており、タイやベトナムがアジアの強豪国相手に抵抗することができるようになっていた。さらに、最近はインドネシアやフィリピンが、それぞれの国にルーツを持つヨーロッパ生まれ・ヨーロッパ育ちの選手を発掘して強化を進めている。タイ代表は2次予選で中国と勝点、得失点で並んだが、惜しくも直接対決の結果によって敗退となったが、インドネシアは、ついにアジア最終予選に駒を進めてきた。

 だが、タイやインドネシアが強くなったといっても、それは東南アジア域内での話である。

 いずれにしても、アジア全体で良い内容のサッカーができるチームが増えているのは間違いない。強豪国を倒すためのさまざまな戦術的工夫もみられるようになっている。10年前のように、日本や韓国、イランといった強豪と対戦する際に、引いて守るばかりではなくなってきてもいるのだ。

 そうした意味で、確かにアジアも強くなってはいる。だが、この数年の日本代表の強化のスピードを考えれば、日本とアジア諸国との間の実力差が縮まっているようには、僕にはどうしても思えないのである。

 だから、僕はいつも「なぜ、日本のサッカー記者たちは『警戒論』を唱え続けるのだろうか?」、「『警戒論』を言うのなら、もっと具体的な論拠を挙げるべきだろう」と思っていた。

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