■繰り返される命題「アジアも強くなっている」
もちろん、中には「楽ではない試合もある」だろう。チーム力が上でも苦戦することはありうる。サッカーは番狂わせの起こりやすい競技であり、しかも、相手は日本を倒すためのあらゆる工夫をして挑んでくるのだ。ちょっとした油断や不運で、結果が覆ることだってある。従って、「楽でなくなってしまう試合」は必ずあるだろう。
だが、「楽な試合はない」というのは嘘ではないか? それが最終予選であっても親善試合であっても、2つのチームの間にある程度の実力差があるのなら、当然、楽になる試合もある。いや、日本の実力であればアジアの相手なら「楽な試合のほうが多い」はずだ。
「アジアも強くなっている」。
これも、最終予選やアジアカップのたびに繰り返されてきた命題の一つだ。
たしかに、ある大会ではオマーンのように、それまであまり注目を浴びてこなかった国が活躍することもあるだろうし、アラブ首長国連邦(UAE)が日本の前に立ちはだかったこともある。最近は、シリアとか、イラクといった政治的には大混乱の最中にある国が頑張っている(イラクは伝統的に、西アジアの雄だった)。
だが、それはほとんどが一過性のものだ。
ある大会で注目を集めた国が、次の大会までにさらに強くなって、日本を倒すまでに力をつけてきたことがあっただろうか?