ワールドカップ(W杯)・アジア最終予選を戦っているサッカー日本代表。初戦の中国戦7-0、第2戦のバーレーン戦5-0と、計12得点を奪う2戦連続の圧勝だった。だが、いまだ「今後は難しい戦いになる」と、警戒論を述べる人が多い。どこに「問題」や「落とし穴」があるのか。サッカージャーナリスト後藤健生が分析する。
■「理解できる」9月シリーズ前の警戒論
9月の最終予選開幕前に「初戦が鬼門だ」とか、「バーレーンも侮れない」といった「警戒論」が支配的だったのは理解できる。
前回、前々回の最終予選で初戦を落としていることの記憶があるからだ。そして、1月のアジアカップで相手のロングボール攻撃によって失点を繰り返したあげく、準々決勝で敗退したことも、「警戒論」の根拠だったようだ。
しかし、9月の時点でのFIFAランキングで日本は18位。日本と同じグループCではオーストラリアが24位で、サウジアラビアは56位……。
もちろん、FIFAランキングが本当に現時点での実力を反映したものかは疑問があるが、日本が最強なのは間違いないだろう。しかも、大会方式はオリンピック予選を兼ねるUー23アジアカップのような「一発勝負」ではなく、ホーム&アウェーの2回戦総当たりで行われる。1試合や2試合を取りこぼしたとしても、十分に挽回できる形式である(前回の予選は、まさにその形だった)。そして、グループ2位以内に入れば、予選突破=ワールドカップ出場が決まるのだ。
従って、一つひとつの試合にはそれぞれの難しさがあるとしても、予選勝ち抜きに関しては楽観してもよいはずだ。
だが、こうした大会を迎えるたびに日本では「警戒論」を唱える声が大きくなる。
そして、根拠として挙げられるのは「最終予選に楽な試合はない」とか、「アジアも強くなっている」といった抽象論ばかりだ。