■浦和が陥ったジレンマ

 さらに痛かったのが、この5分後のPK献上。荒木遼太郎の右CKを石原広教がハンド。肉眼では見えなかったが、VAR判定でファウルを取られ、荒木に2点目を決められた。序盤で0-2というのはスコルジャ監督のシナリオにはない展開だっただろう。

 その後、負傷したブライアン・リンセンに代わってチアゴ・サンタナが登場。彼を起点に攻め込みたかったが、相手の4-4-2の強固なブロックの前に膠着状態を強いられる。「ボールは持てても点を取れない」というジレンマに苦しみながら、前半を折り返すことになった。

 攻撃のギアを上げるべく、指揮官は後半頭から石原と松尾佑介をスイッチ。左FWに入っていた関根貴大を右サイドバック(SB)に下げ、左ワイドで松尾のスピードを生かそうとした。それでも点を取れないと見るや、16分には原口と長沼洋一をダブル投入。最初は原口をトップ下、渡邊凌磨をボランチに置いたが、またも攻めのリズムが作れなかった。

 そこで、今度は原口をボランチに下げ、渡邊を左FWに配置。松尾をチアゴと並べて2トップのような形に変更する。さらには関根と小泉佳穂を交代し、小泉を前、長沼を右SBという立ち位置に。これで強引に1点を取りにいこうと試みたが、多くの選手が不慣れなポジションや関係性に戸惑った印象で、“カオス状態”に陥ってしまった。

「(交代選手の立ち位置が明確にならなかった?)そこは僕らも感じたこと。どこから違いを出していけばいいのかがすごく難しかった。交代含め、出ているポジションがいろいろ変わる中で、役割をもっと明確にして、積み上げていかないといけないとも思いました」と関根も難しさを吐露した。

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