■「僕の力が必要になってくる場面がたくさん出てくる」

 もちろん、その得点は嬉しかったはずだが、小川は「5点目だったのかな。最終予選という舞台で、今後もっともっと緊迫した試合で、僕の力が必要になってくる場面がたくさん出てくると思うので、そういった時に大事な場面で点を取れるように、しっかりと常に準備したい」と前を向く。

 最終盤にはFWの浅野拓磨がシャドーのポジションに入り、決定的なシーンに絡んだが、惜しくもゴールはならなかった。5−0という結果は素晴らしいが、相手のディフェンスがかなり間延びしていた中で、欲を言えばもう1点、2点、攻撃陣の力で取って欲しかったという、厳しい評価もできる。

 2列目のアタッカー陣がこれだけ充実し、三笘薫や中村敬斗、堂安律伊東純也といった攻撃的な左右のウイングバック、さらにはバーレーン戦での守田のように、ボランチの選手も得点を狙えるというのは、最終予選だけでなく、世界に向けても”森保ジャパン”の強みになっていくかもしれない。そんな中でも、ゴールに最も近い前線に構えるFWというのはチームを安定的に勝利に導ける最高の得点源であるべきだろう。

 今回は上田と小川が結果を出したが、町野修斗(ホルシュタイン・キール)や大橋祐紀(ブラックバーン)、オナイウ阿道(オセール)など、まだまだ招集外のメンバーにも今後、代表に食い込んでくるポテンシャルを備えたFWはいる。そういった選手たちにも、日本代表のFWはこうあるべきという指標を示す上田のパフォーマンスであり、それに交代出場の小川が意地で答えたことにも大きな意味があるに違いない。

(取材・文/河治良幸)

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