Ⅹファクターは細谷と小川

●FW 細谷真大柏レイソル

 中国から早い時間帯に先制点を奪うことができれば、自分たちのペースで試合を運べる。ホームで勝点3がほしい日本は、精神的に焦れないようにしたい。

 前回の最終予選では、三笘が途中出場から決定的な仕事をした。最終予選は総力戦であり、Xファクターとなる選手の出現が欠かせない。

 今回のメンバーでは、細谷真大にその役割を託したい。パリ五輪予選を兼ねたU―23アジアカップと五輪本大会では、ここぞという場面でゴールを叩き出した。1月のアジアカップで結果を残せなかった悔しさを、U-23世代の戦いで晴らした。

 五輪本大会では、競り合いでの力強さと逞しい推進力で相手守備陣を悩ませた。ゴール前を分厚く固めてくるに違いない中国の守備陣を、細谷なら「個」でこじ開けることもできるだろう。相手の守備に不確実性を生み出す存在として、強力な交代カードになるはずだ。

●FW 小川航基(NEC)

 小川航基の高さも、Ⅹファクターに成り得る。かれこれ10年以上にわたって、日本代表は「地上戦重視」で戦ってきた。1点が欲しい展開でも、パワープレーを仕掛けるのは例外的だった。

 チーム全体のキャラクターが、地上戦に合っているのは分かる。ただ、空中戦を挑めるキャラクターがいないわけではないのだ。伊東のようなクロッサーがいて、彼以外にも高精度のクロスを供給できる選手がいる。そして、小川というストロングヘッダーがいる。

 今冬のアジアカップでは、イランのロングスローに苦しめられた。分かっていても圧力を感じ、何度もやられると疲弊していくのが、ロングスローなのだ。距離の出るスローインを投げられる選手がいて、空中戦に強い選手がいるのなら、ロングスローは有効な戦術になる。

 今回のメンバーなら、DF望月ヘンリー海輝(FC町田ゼルビア)はロングスローを投げられる。望月と同じ町田に所属するMF相馬勇紀も、ロングスローの使い手だ。空中戦の競り合いなら、FW上田綺世(フェイエノールト)もターゲットになれる。CB陣や遠藤も含めれば、日本のロングスローは相手の脅威に成りうる。

 小川が出場して地上戦を挑むことも、もちろん可能である。ただ、試合展開によって彼とともにパワープレーを仕掛けるのは、オプションとして持っていくべきだと思うのである。

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