■中山は三笘の「生かし方」を経験済み
●CB 板倉滉(ボルシア・メンヘングラートバッハ)
冨安健洋(アーセナル)が不在のなかで、DFラインを束ねるのは板倉になる。
中国のゲーム戦術を想定すると、前線からハイプレスを仕掛けてくるのではなく、ミドルブロックを敷いてくる可能性が高い。CBがボールを受ける機会は多くなるはずで、彼がボールをどれだけ動かせるのかは、この試合のポイントになるだろう。近くの選手につけるステーションパスではなく、守備ブロックの間を狙った縦パスで、攻撃にスイッチを入れる。さらには中長距離のパスで、相手の目線を揺さぶる、といった仕事を求めたい。
ビルドアップへの関わりと並行して、カウンターのリスク管理も板倉のタスクになる。最終予選ではセットプレーの価値が高まるだけに、ペナルティエリア付近で不用意な反則をしない、チームメイトにさせないことも大切だ。守備ブロックのリーダーとして、攻守に重要な役割を担う。
●SB 中山雄太(FC町田ゼルビア)
左SBのファーストチョイスだった伊藤洋輝(バイエルン・ミュンヘン)が招集外となり、左SBは長友佑都(FC東京)と中山のふたりだ。CBの町田浩樹(ユニオン・サンジロワーズ)も左SBとして計算されているかもしれないが、スタメンは中山だろう。
18年以来の国内復帰を果たした中山は、町田で左CBとしてリーグ戦3試合にフル出場している。コンディションは上がっていると見ていい。
今回は三笘薫のスタメン出場が濃厚だ。左SBには三笘を何度も追い越すような積極的な攻撃参加よりも、三笘が仕掛けるスペースを埋めずに、後方からサポートしていくことが認められる。前回の最終予選でも担った役割で、中山は最適任者と言える。
中国がブロックを敷いてくると、三笘が仕掛けるスペースがあらかじめ埋められている、ということも考えられる。その場合は、中山へボールが下がってくることが多くなる。町田で見せているサイドチェンジを使って、攻撃のきっかけ作りも求められる。
アルネ・スロット監督が就任したリバプールでは、開幕から3試合で出場時間はわずか数分となっている。ゲーム勘や試合勘には不安が残るが、最終予選の初戦である。キャプテンを外すという選択肢はない。
中国がどのようなゲーム戦術を採用してくるのかにもよるが、いずれにせよ、ボールを握る時間は日本のほうが長いはずだ。たくさんボールに触わることで自身の感覚を取り戻し、試合の流れに入っていければいい。
4-2-3-1なのか4-3-3なのか。あるいは、6月のシリア戦でトライした3-4-2-1なのか。試合中のシステム変更も想定されるなかで、遠藤に求められるのはチームのかじ取り役だ。スコアレスで推移しても慌てない。先行しても油断しない。先制されても動じない。最終的に勝点3をつかめばいい、というメッセージをチームに送り続けるのだ。