■最終予選開幕節は連敗中
9月の最終予選は難しい。
FIFAのインターナショナルウィンドー(IW)はヨーロッパ主要リーグのカレンダーに合わせてあるため、今回の北中米W杯アジア最終予選は6月以来ほぼ3か月ぶりの活動となる。しかも、9月5日の開幕節、対中国戦(埼玉スタジアム2002)へ向けたトレーニングはわずかに3回だけだ。その間に時差調整を行ない、戦術的な確認をし、セットプレーも突き詰めなければならない。やるべきことは多いが、時間は限られている。
2016年9月に開催されたロシアW杯最終予選の開幕節で、日本はUAEに1対2で敗れた。浅野拓磨のゴールが認められない疑惑のジャッジはあったものの、それが決まっていても2対2の同点である。勝ち切ることはできなかったのだ。
21年9月のカタールW杯アジア最終予選の開幕節では、オマーンに0対1の苦杯をなめた。敵将ブランコ・イバンゴビッチは、自身に馴染みのあるセルビアで3週間強の合宿を行ない、日本代表が集まるよりも先に来日した。
イバンゴビッチは周到だった。直前の東京五輪での日本の戦いぶりも参考にして、ゲーム戦略を立ててきた。
中国は今回の2次予選で韓国、タイ、シンガポールと同居し、2勝2分2敗の勝点8でタイと並んだ。総得点と総失点も同じで、直接対決で1勝1分と上回ったことによる最終予選進出だった。日本とは力の差がある、と考えていいのだろう。
さかのぼれば今冬のアジアカップでも、カタール、タジキスタン、レバノンとのグループで3位に終わり、グループステージで敗退している。最新のFIFAランキングは87位で、アジアで13番目に位置する。それがいまの中国の実力だが、現在監督を務める前出のイバンコビッチの存在が、やはり気になる。
古くはドイツW杯最終予選でも、イランを率いて日本を下している。アジアを熟知する彼は、今回も特別なゲーム戦術を用意してくると考えたほうがいい。
そこで、日本のキーマンをあげる。攻守8人の選手――まずは守備編だ。
GKには谷晃生(FC町田ゼルビア)、鈴木彩艶(パルマ)、そして大迫と、21年の東京五輪代表の3人がセレクトされた。彼らの間に実力の差はほとんどないと言っていいが、ここでは大迫を推す。
Jリーグでプレーする彼はコンディション調整に無理がなく、6月のシリア戦でも先発出場している。また、中国戦は守備機会が少ないことが予想される。日本のGKがビッグセーブを連発するような試合にはならないだけに、一つひとつのプレーを確実に処理していく安定感が何よりも求められる。
そこで、小さなミスが少ない大迫を、スタメンに指名したいのだ。所属する広島はリーグ戦7連勝で首位に浮上しており、メンタル的にも充実しているだろう。