得点力という部分では明らかに物足りなさが感じられる今季のガンバ大阪。それでも上位争いを繰り広げられているのは、徹底した堅守があるからだ。
ここまで26試合のガンバの総失点は18。これはもちろんJ1トップの少なさだ。
「38試合で1以下は目指していきたいですし、全然達成できる数字だと思います」と最終ラインの守備の統率役である中谷進之介も自信をのぞかせたが、「簡単にはやられない」という安心感が今のチームの大きな支えになっている。
その原動力となっているのが、今季名古屋グランパスから加わった中谷と横浜F・マリノスへのレンタル移籍から復帰した守護神・一森純だろう。
まず中谷は名古屋時代から発信力のあるDFとして異彩を放っていた。メディアの質問にも理路整然と答えられて、明るく社交的なキャラクターを備えているという点で前日本代表キャプテンの吉田麻也(LAギャラクシー)に通じるものがある。
正直、昨年末の移籍も海外ではないかと多くの人々が考えていたはずだが、意外にも同じ国内のガンバを選択。「自分がレベルアップするために環境を変えた」と本人は話しているが、スペイン人のダニエル・ポヤトス監督に師事することによって、ボールのつなぎやビルドアップなど攻撃面でブラッシュアップできるところが数多くあると考えて、新天地に赴いたのだろう。
「今季の失点の少なさは、シンとか(三浦)弦太が前半戦にすごい頑張って流れを作ってくれたからこそ、自信を持ってやれている」と一森も強調したが、中谷が入ったことで意思疎通が密になり、連携面も向上したのは事実だ。