■パリ五輪で採用「大混乱に陥ることも」
IFABとUEFAの間でどんなやりとりがあったのか知らない。しかし、UEFAの「試行」は大成功し、UEFAは以後の全大会で採用することを決定、それに追随するように、ドイツ・サッカー協会(DFB)は全レベルの大会で「キャプテンオンリー」を実施すると発表した。するとIFABは、7月、オリンピック大会開幕の直前に新しい通達を出した。
タイトルは、「キャプテンのみが主審にアプローチすることができる~大会のためのガイドライン(アマチュアとグラスルーツ・レベルでのIFABのトライアルに参加しているものを除く)」。
滑稽なほどに長く、複雑なタイトルだが、要するに、3月の「通達」をUEFAに無視されたIFABが、EUROでの成功を見てトップリーグやナショナルチームの大会での「試行」を「追認」したという形である。これを受けて、7月24日に開幕したパリ・オリンピックのサッカーでは「キャプテンオンリー」が使われた。
ただ、この大会ではうまくいったとは言えない。判定をめぐってレフェリーたちはこれまでと変わらずに取り囲まれていたし、監督たちは口汚くののしっていた。コントロールがきかず、大混乱に陥った試合もあった。
大会直前の「試行」採用決定で、その考え方が全チームにしっかりと理解されていなかったことが、その原因だったのではないか―。ともかく、パリ大会のサッカーを見た人は、選手たちが言いたい放題にレフェリーに抗議するのを見て、サッカーへの嫌悪感を深めたかもしれない。