■「選手もサポーターもおめでとうございます!」と森山監督

 乾、カルリーニョス・ジュニオ、ルーカス・ブラガ北川航也が質的優位を見せてくる清水に対して、仙台はハードワークで対抗した。4-4-2のブロックを敷いて前線から規制をかけ、サイドへ追い込んだらボール奪取にかかる。攻撃ではボランチの長澤和輝と松井、あるいはSBの真瀬と高田がボールに関わり、サイドで数的優位を生み出す。左サイドハーフで起用された中島がCB、SB、ボランチの間に立ち、位置的優位を生み出す場面もあった。

 38分に同点とされるが、ペースを乱されることはない。後半に入った51分、自陣からパスをつないで前進していき、松井が右サイドを力強く突破する。ここから波状攻撃を仕掛け、ボールを失っても即時奪回する。最後は52分に長澤が決め切って、仙台は一歩前へ出た。長澤は昨夏の仙台加入後初、浦和レッズ在籍時の20年以来のゴールだ。

 清水の「個」に冷や汗をかかされる場面はあった。ハイプレスを剥がされる場面もあった。それでも、最後までハードワークした仙台は、3試合ぶりの勝利をつかんだ。

 試合後のフラッシュインタビューに立った森山監督は、「選手がホントに戦ってくれて、サポーターのみなさんがホントにパワーをくれて、ホントにありがとうございます」と言って頭を下げ、「選手も、サポーターもおめでとうございます」と声を張り上げた。さらにこう続けた。

「前回(の対戦では)、相手を恐れて攻撃できなかったので、最初から攻撃しようと。あのエスパルスのクオリティを守り切るのは難しいので、1点、2点、2点目取ったら3点目と、守るよりももう1点取るというのを、選手はホントにやってくれたと思います」

 エロンと途中出場の梅木が最前線で起点を作り、中島が2列目からゴール前へ関わっていく攻撃の作りは、チーム最多得点の中島の決定力を生かす意味でも有効だ。實藤も本来のCBで力を発揮している。

 J2リーグは勝点50以上の横浜FC、清水、V・ファーレン長崎がトップグループを形成し、勝点42のファジアーノ岡山、勝点41のレノファ山口FCと仙台が第2グループを形成している。新戦力の融合と既存の戦力の特徴を引き出すことで、仙台は第2グループから抜け出していく。

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