2010年のワールドカップを前に、日本のジャーナリストたちは揺れていた。治安最悪と言われる南アフリカでの取材に、恐怖を覚えていたのだ。蹴球放浪家・後藤健生も当然、彼の地の取材におもむいた。そして、敢然と戦ったのだ。
■スカパー!と電話しながらナビ「天才か?」
日本の初戦、カメルーン戦は、ヨハネスブルグから南に400キロ弱のブルームフォンテーンが会場でした。
試合前日にブルームフォンテーンのB&Bを予約してありましたから、レンタカーの隊列を連ねて現地に向かいました。高速を降りてから、僕はガイドブックを取り出して、そこに載っている大雑把な地図を頼りにナビゲーションを始めました。後は方向と距離を計算しながら、頭の中の地図と照らし合わせながら目的地に向かいました。
ところが、そこに日本のスカパー!から電話がかかってきたのです。なんか、急ぎの用件だったので、電話で話しながら、そのままナビゲーションを続け、一発で目的地に到着したので、このときは「自分は天才なのではないか」と思ったほどです。