■全員が攻撃に関与「相手守備を破る」横浜FM

 それに対抗したのが、アンジェ・ポステコグルー監督が率いた横浜FMだった。2018年、就任とともに改革を開始し、ハイライン、ハイプレスで縦に速いサッカーを指導。1年目は12位と低迷したが、2年目に攻撃陣にブラジルからマルコス・ジュニオールなどを加えて攻撃力を強化し、シーズン後半に圧倒的な力を見せて優勝を飾った。

 ポステコグルー監督は2021年シーズンの半ばにスコットランドのセルティックの監督となったが、それを引き継いだ同じオーストラリア人のケヴィン・マスカット監督の下、チームを整備し、2022年にはアンデルソン・ロペスを中心に右にヤン・マテウス、左にエウベルと並ぶブラジル人FWトリオを押し立てて川崎から王座を奪い返してきた。ポステコグルーが基礎を築き、それまでになかったまったく新しいスタイルを確固たるものにした横浜FMも、「スーパーチーム」だった。

 こうして、2017年から2022年にかけての6シーズン、川崎と横浜FMはJリーグのタイトルを独占し続けてきたのである。圧倒的なパスワークとテクニックでどんなに守備を固めても崩してしまう川崎、前へ前へとボールを進める中、全員が攻撃に関与して相手守備を破ってしまう横浜FM。スタイルは大きく違うものの、観客を魅了する攻撃サッカーの応酬は、30年を超すJリーグの歴史でも特別な6シーズンだった。

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