■2強時代にピリオドを打った「日本最高FW」

 だが、圧倒的なチャンピオンがいれば、それを倒すための方策を考え、工夫し、乗り越えていくのがサッカーという競技である。高額で海外のスター選手を獲得するという形から、欧州で実績を積んできた日本代表クラスの選手を並べるという形で戦闘力のあるチームをつくったヴィッセル神戸が、昨年、ついにこの「2強時代」にピリオドを打つ。

 吉田孝行監督は、風間-鬼木ラインやポステコグルーのような革新的な攻撃をつくったわけではなかった。チーム一丸の激しく固い守備と、日本代表を退いてから2年以上たっても「日本最高のセンターフォワード」と言われる大迫勇也を軸とした攻撃、いわばオーソドックスなサッカーで王座をつかんだのである。

 そして今季は、J2から初昇格した町田ゼルビアが堂々と首位を走っている。黒田剛監督の指導の下、これまでのJリーグにない強度の高い攻守、ビッグスターはいないが、各ポジションに必要な技術と能力を持った選手を並べて90分間戦い抜く試合は、まさに現代サッカーのひとつの方向性を示したもの。リーグの前半戦に、川崎に1-0、横浜FMに3-1と勝ったことは、非常に象徴的な出来事と言える。川崎と横浜FMの「2強時代」は、完全に終結したのだ。

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