■2点目を取るチャンスはあったが

 後半戦に突入したJ2リーグは、清水エスパルス横浜FC、長崎が三つ巴となって争っている。前節終了時点で勝点を「40」台に乗せているこの3チームが、現時点で一歩抜け出していると言っていい。前節終了時点で勝点「34」の仙台としては、アウェイでも勝点3がほしい状況である。

 2点目を取るチャンスはあった。58分、MF相良竜之介が自陣左サイドからドリブルで持ち込み、ペナルティエリア手前で右足を振り抜く。コースを狙ったコントロールショットが、右ポストをかすめるようにそれていった。

 78分、相手のビルドアップを規制して敵陣でボールを奪い、中島がパスを受ける。ペナルティエリア左角付近から、DFラインとGKの間へグラウンダーのパスを通す。途中出場のFW中山仁斗が、CBの背中を取っている。フリーだ。あとはゴール内へプッシュするだけだったが、利き足ではない右足のシュートは枠をとらえることができなかった。

 試合後の森山佳郎監督は、「勝点3を取れなかったのは、僕らからすると非常に悔しいですけれど、引分けが妥当な試合だったかなとも思います」と振り返った。

 過去のJ1昇格チームには、得点について2つの傾向がある。絶対的な得点源を頼りに勝点を稼ぐチームと、複数の選手が得点源になるチームがあるのだ。

 前者は21年のジュビロ磐田京都サンガF.C.、22年の横浜FCなどである。磐田はルキアン、京都はピーター・ウタカ、横浜は小川航基がゴールを量産した。

 後者は20年のアビスパ福岡、22年のアルビレックス新潟、23年の磐田などである。

 福岡は遠野大弥(11点)、フアンマ・デルガド(8点)が得点源となった。新潟は谷口海斗伊藤涼太郎高木善朗が9得点をあげ、鈴木孝司が8得点を記録した。23年の磐田では松本昌也ジャーメイン・良、ドゥドウが9ゴール、上原力也が8ゴール、後藤啓介が7ゴールを決めている。

 今シーズンの仙台は、後者に属するだろう。ここまで中島が7点、相良が5点、中山が4点だ。彼ら3人に加えてMF郷家友太やオナイウが数字を伸ばすことで、山形戦のような試合を引分けではなく勝ちに変えることができるはずだ。

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