後藤健生の「蹴球放浪記」第218回【サッカー「古今東西ナイトゲーム」の楽しみ方】の巻(2) 「一晩中明るい」欧州選手権、オシムの涙と緊急招集デンマーク、統一ドイツ決勝への画像
オスロに行ったのは2002年の日本代表の遠征。シンプルなプラスティック製の入場券だった。提供/後藤健生

 夏が近づくにつれ、Jリーグでもナイトゲームが増えてきた。蹴球放浪家・後藤健生は古今東西、さまざまな場所で夜の試合を楽しんできた。場所が変われば、ナイトゲームの様子も、それぞれ違うのだ。

■「一晩中明るい」スウェーデンの欧州選手権

 夏至がワールドカップや欧州選手権(EURO)の頃なので、僕は夏至の日を海外で迎えたことが何度もあります。

 1992年にスウェーデンでEUROが開催されたときもそうでした。この年も、夏至は6月21日でした。

 夏は一晩中明るい北欧スウェーデンですが、逆に冬になったら昼間でも暗いわけです。だから、彼らにとって太陽の光は貴重なもの。夏至の日は、盛大なお祭りが行われます。

 昼に公園を訪れると、芝生広場には木の葉や花で飾られた柱が立てられて、大勢の人が集まって肌を露出して太陽の光を浴びて祝っていました。

 1992年、ユーゴスラビアでは内戦が始まっており、イビチャ・オシム監督率いる同国代表は予選を突破していたのに、国連の制裁によって出場停止となり、デンマークが代替出場することになりました。すでに夏のバケーションに入っていたデンマークの選手たちは緊急招集され、そのデンマークが優勝してしまったという大会です。

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