国立競技場のロッカールームで、川崎フロンターレの左サイドバック、佐々木旭は自問自答を繰り返していた。昨シーズンの王者、ヴィッセル神戸のホーム扱いとなる16日のJ1第18節。1点のビハインドで迎えたハーフタイムだった。
前半を振り返れば、川崎が放ったシュートはわずか1本。しかも枠外だった。対する神戸のそれは、43分のFW武藤嘉紀の先制弾を含めて9本を数えていた。
「相手からしてみれば、怖くないかなと思った。やはり仕掛けなきゃいけないし、もっとシュートを打たなきゃいけない。なので、思い切って前に出ていこう、と」
佐々木の決意を物語るように、後半は川崎の左サイドが活性化した。シュート数そのものは2本だったが、71分にペナルティーエリアの左角あたりから佐々木が放った一撃は、日本代表GK前川黛也にキャッチされたものの枠をとらえた。
川崎を率いる鬼木達監督は、神戸戦で“初めて”となる陣形をピッチへ送り出している。最終ラインに右から大南拓磨、ジェジエウ、高井幸大、そして佐々木を配置。身長192cmの高井を筆頭に、全員が180cmを超える4人をそろい踏みさせた。
名古屋グランパスに勝利した2日の第17節でも、右サイドバックと両センターバックの3人は同じだった。その試合で累積警告による出場停止だった佐々木は、長身の4人で形成される顔ぶれに「やりにくさはあまりないですね」とこう続ける。
「そのなかでも、やはり自分と(大南)拓磨くんは前への推進力というのも求められるので、もっともっとそこは出していかなきゃいけなかった」