■「試合に出られなかったのには納得しています」

 ただ、中村に関しては負けた悔しさだけでなく、大会最後の試合になったイラン戦で試合に出られず、チームの力になれなかったこと、何より個人としても存在感あるパフォーマンスができなかったことが強く残っている。「試合に出られなかったのには納得しています」という中村は矢印を自分に向けて、所属クラブのスタッド・ランスで個の力に磨きをかけることにこだわって、この半年間を過ごしてきた。

 代表デビューから得点を重ねて注目を浴びたが、反対サイドの選手が仕掛けて作ったチャンスに合わせる形でゴールを決めたり、セカンドボールを拾ってフィニッシュに繋げるといった形が多かった。そうした形で関われる強みは残しながら、左サイドから個人で仕掛けて決定的な仕事ができる、相手ディフェンスにとってより危険なアタッカーになった。

 3バックにせよ、4バックにせよ、左サイドには三笘薫という日本代表の顔とも言えるライバルがいる。今回は怪我でメンバーから外れたが、コンディションが回復すれば、間違いなくスタメンの最有力候補として復帰してくるだろう。

 ハイレベルな二人のサイドアタッカーを中心にパリ五輪世代などが加わって、日本代表の歴史でも類を見ない左サイドの競争を中村が、最終予選を通して勝ち抜いていけるのか。その先には当然、世界での躍動がある。

(取材・文/河治良幸)

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