レアル・マドリードが2シーズンぶりに、史上最多記録を更新する15回目の優勝を果たした今季のチャンピオンズリーグ。日本時間6月2日(日)早朝に行われた欧州クラブ最高峰の戦いを、イギリス・ロンドンのウェンブリー・スタジアムで撮影した原悦生。生涯サッカーカメラマンが見た、白い巨人の「知られざるリアル」と、スタジアムの「語られざる異様」――。
一発勝負は、どうなるかわからない
レアル・マドリードが勝つと思っていた人のほうが多かっただろう。
試合前から、2-1や2-0で決着するという声も多く聞こえた。賭け屋で当てに行くなら、3-0もありかなとも思った。
それでも一発勝負は、どうなるかわからない。
レニー・クラヴィッツの派手なオープニング・ショーが終わって、ウェンブリーはまだ煙っていた。
サイドが入れ替わった。
キックオフ直後、そんなどさくさに紛れて、賞金目当ての数人による計画的なピッチへの乱入があり、試合が止まった。バックスタンドの観客席まで逃げ切った輩もいたが、緊張感が薄れてしまった。
そのせいだけでもないのだろうが、前半、マドリードはボルシア・ドルトムントに押された。
GKティボ・クルトワの好守がなければ、1点は奪われていただろう。
この試合を最後に引退してピッチを去るトニ・クロースは、「よいチームになるまで時間がかかった」と振り返った。
クロースにとっては最高のファイナルになった。ルカ・モドリッチ、ダニ・カルバハル、ナチョ・フェルナンデスらと並んで、彼自身6度目のビッグイヤーを手にすることができた。