■「いまはそこから発展させている」
流通経済大から加入して2年目の昨シーズン。リーグ戦の31試合を含めて、安居は公式戦で54試合に出場した。しかし、ペア=マティアス・ヘグモ新監督が就任した今シーズンは、開幕から6試合続けてベンチにすら入れなかった。
アンカーにサミュエル・グスタフソンが定着した中盤。安居が勝負を挑めるインサイドハーフでは伊藤を軸に岩尾憲、小泉佳穂、中島翔哉らが起用された。
「自分は何かがめちゃめちゃ秀でている、という選手ではないので、そういう(試合に出られない)役回りになるのかなと。ただ、徐々にですけど、自分のよさを出せてきたのが監督の目にも留まったのかなと思っていた。初先発で結果を残したいと思っていたなかで、わかりやすくて目に見える得点という形で出せた。折れないで続けてきて本当によかったし、それが大事だとあらためて感じている」
練習で決して腐らず、確固たる武器を持つインサイドハーフの選手たちに話を聞いてきた日々を安居はこう振り返る。ハードワークを身上として、バランスを保てる万能型のインサイドハーフが必ず必要になると自らに言い聞かせてきた。
名古屋を2-1で振り切り、連敗を止めたヘグモ監督は試合後にこう語った。
「シーズンが始まった段階では選手を固定して使っていたが、いまはそこから発展させている。海渡がインサイドハーフとして点を取れたのも本当によかった」
もっとも、浦和が変わったのは先発起用される選手の顔ぶれだけではなかった。
(取材・文/藤江直人)
(後編へ続く)