■相手ボールホルダーに対する「守備」が中途半端に
ひとつのポイントは山田楓喜(東京ヴェルディ)と平河悠(FC町田ゼルビア)のプレーだった。2人は相手のサイドバックの攻め上がりをケアしなければならない役割を負っていたが、それに集中するあまり、攻撃に出ていく余裕がなくなった。相手のサイドバックがより高い位置を取ると、日本チームの「形」は「6―2-1」のような形となってしまった。
こうした中、相手ボールホルダーに対する守備が甘くなった。最前線は細谷真大(柏レイソル)ひとりで、ボールを持ったセンターバックに行くと、横に30メートルも離れたもうひとりのセンターバックにパスされる。細谷がここまで行くことはできない。当然、中盤からひとり出てきて対応しなければならないのだが、誰が行くのかはっきりしないケースが多く、中途半端になって、そのセンターバックから前線の選手につながれることがたびたびあった。
この大会にはVARがある。至近距離からでも相手が蹴ったボールが少しでも手や腕に当たれば、VARは「待ってました」と証拠の映像を見つけ出し、主審に報告する。この試合でも、サイドから鋭いクロスが入り、その恐れのある状況が何回かあった。PKが生まれなかったのは幸運と言ってよかった。