■全員が消極的になって「攻撃を放棄」する形に
しかし、最大の幸運は、中国にこの日本のまずい試合運びを生かす力がなかったことだ。前半にはミドルシュートがバーを直撃し、後半立ち上がりにはMF謝文能が抜け出すという場面があったが、これは日本のGK小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)が前進して足と手に当てて防いだ。
しかし、いくら「数的劣位」であると言っても、これほどボールを保持され、攻め込まれる必要があったのか。もっとしっかりとボールをつないで攻撃する時間をつくる力を持った選手がそろっていたはずなのに、これほどまでに全員が消極的になり、攻撃を放棄する形になったのは、うなずけない。
ひとつの現象として、10人になってから「個の突破」を試みようという選手がいなくなったことがある。パスを受けると、日本の選手はパスを出すところばかり探していた。ボールを受けた選手が相手のチャレンジをかわし、置き去ることができれば、その瞬間には「数的劣位」は解消する。そうしたきっかけをつくろうとした選手が、後半なかばに佐藤恵允(ヴェルダー・ブレーメン)と藤尾翔太(FC町田ゼルビア)の投入までいなかったのは、本当に残念だった。