パリ・オリンピック予選前、最後の調整となる2試合が終了した。サッカーU-23日本代表は国際親善試合2試合を行い、U-23マリ代表には1-3で敗れ、同ウクライナ代表には2-0で勝利した。8大会連続の五輪出場、さらに1968年以来となるメダル獲得に向けて、若き日本代表は現在、世界と比べて、どのくらいのレベルにあるのか。サッカージャーナリスト後藤健生が考察する。
■交代で入った田中聡の「ダメ押し弾」で完勝
パリ・オリンピック出場を目指すU-23日本代表は、4月にオリンピック予選を兼ねて行われるAFC Uー23アジアカップ前の最後の試合、3月25日のU-23ウクライナ代表戦で「完勝」した。
得点は2対0だったが、90分間を通じて日本がゲームを支配し続け、前半こそ無得点に終わったものの、後半開始早々にCKから先制。さらに、76分には交代で入ったばかりの田中聡がダメ押しの2ゴール目を奪って勝利を確定した。
得点が幸運なものだったことは確かだ。
先制ゴールは右CKを荒木遼太郎(FC東京)が蹴って、サイドバックながら187センチと長身の関根大輝(柏レイソル)がヘディングでコースを変えると、このボールがウクライナのゴールポストを叩き、詰めていた佐藤恵允(ヴェルダー・ブレーメン)が頭で押し込んだもの。
2点目は、ペナルティーエリアの手前で佐藤が前を走る細谷真大(柏レイソル)にパスを入れたのだが、これが相手DFに跳ね返された。ところが、このこぼれ球をウクライナの選手が処理できず、ボールがフリーになっていた田中聡(湘南ベルマーレ)の前に転がったものだった。
ただし、1点目の場面のCKは左サイドで佐藤、荒木、細谷が絡んでウクライナの守備を完全に崩し、荒木が放ったシュートをGKのキリル・フェシュンが弾いて獲得したCKだった。
また、2点目も、相手に跳ね返されても、すぐにコントロールした佐藤の粘りが生んだ得点であり、角度のないところから田中が決めたシュートも見事だった。そして、ウクライナ守備陣に致命的なミスが出たのは、この時間帯に日本が押し込んで、連続してチャンスを作っていたからこそだった。つまり、どちらも単なる幸運だけのゴールではなかったのだ。