■中2日で「パフォーマンスが向上した」理由
U-23日本代表は3月22日、京都・亀岡でパリ・オリンピックに出場することが決まっているマリと対戦して、1対3と逆転負けを喫していた。だが、そこから中2日のスケジュールで行われたウクライナ戦までに完全に立て直して、見事な勝利を飾ったのだ。
ウクライナ戦でパフォーマンスが向上した原因は、いくつか考えられる。
一つは、集合してすぐに行われたマリ戦と違い、1試合の実戦と何日かのトレーニング・セッションを通じてコンセプトを共有し、マリ戦の反省点を踏まえて時間をかけて準備したことによって、日本のコンビネーションが向上していたことだ。
ふだん一緒にトレーニングする時間が持てないのは代表チームの宿命なので、森保一監督率いるフル代表チームも木曜日の試合に比べて火曜日の試合のほうがパフォーマンスが上がる傾向がある。
特にU-23代表の場合は、思った通りに海外組を招集できないため、活動のたびにメンバーが大幅に入れ替わるという難しさがある。そうした事情を考えれば、1試合目より2試合目のほうが、プレーの質が上がるのは当然のことだ。
対戦相手も違った。
ウクライナは国外組をほとんど招集できなかったうえに、長距離移動の直後でコンディションも万全ではなかったが、オリンピック予選を兼ねたUEFA U-21選手権で3位に入ってオリンピック出場権を獲得した強豪だ。
ただ、マリと違って、しっかりと中盤でパスを回してビルドアップしてくるチームであり、日本の選手たちにとってはボールの奪いどころなど、タイプ的に狙いを絞りやすかったのかもしれない。
戦術に忠実で、規律を重んじる日本人選手にとっては、ウクライナのようなスタイルの相手のほうが対処しやすく、個人の走るスピードやキックのスピードなど物理的なスピードで勝負してくるマリのようなチームは苦手となる。