■堂安から守田への喝
優勝候補の筆頭にあげられながら、準々決勝でイラン代表に逆転負けを喫した直後。DF冨安健洋が「熱量が感じられない」と胸中を吐露し、にわかに注目されたキーワードが熱量だった。
怪我明けの冨安が選外となった北朝鮮戦前。堂安は熱量に関して持論を展開した。
「代表として戦う以上、熱量を話し合っている時点で少しレベルの低い集団になっているんじゃないか。そのベースがないと、本当に北朝鮮に食われる展開になる」
誰もが抱いて当然なのが熱量。あわや失点の場面を招いたからこそ、堂安は3歳年上の守田へ間髪入れずに喝を入れた。結果として決勝点となった、開始80秒で生まれたMF田中碧の先制点をアシストしたのも堂安だった。
左サイドのゴールライン際で、FW上田綺世が鮮やかなターンで2人をかわす。ボールを受けた田中がファーへクロス。堂安が頭で折り返したボールへMF南野拓実が右足を合わせるも、北朝鮮の選手に当たって再び堂安の前へこぼれてきた。
今度は右足でマイナス方向へ折り返し、走り込んできた田中が右足を合わせた。
「碧がいたのは見えなかったけど、相手のディフェンス陣が下がっていたのがわかっていたので、あそこに落とせば誰かがいるだろうと信じてパスを出しました」
アシストをこう振り返った堂安は、途中離脱したアジアカップに続いて北朝鮮戦でも選外となった、性加害疑惑報道で係争中のMF伊東純也が主戦場とする右ウイングで、3バックにスイッチする74分まで変幻自在なプレーを見せた。