見逃されがちで、それでいて重要なやり取りが国立競技場のピッチ上でかわされていた。北朝鮮代表が攻勢を強めていた55分。MFリ・イルソンが放ったヘディングシュートを、GK鈴木彩艶が両手でがっちりキャッチした直後だった。
リと競り合った右ウイングの堂安律が、両手を大きく広げて味方に何かを訴えている。視線の先にいたのはボランチの守田英正。クロスを上げたMFペク・チョンソンとの間合いをほとんど詰めなかった守田へ、堂安は苦言を呈していた。
試合後の取材エリア。真っ先に姿を現した堂安は「試合が終わった後も、守田くんとは健康的な会話をしました」と苦笑しながら、苦言に込めた思いを明かした。
「直前のプレーで守田くんがボールを失った後に、ちょっと下向いている間にやられていたので。ボールを失うのはかまわないし、僕自身もボールを何回もロストしている。ただ、あのときは1秒、2秒と下を向いている間にスローインされて、クロス上げられていた。それは絶対にしちゃいけないプレーだと思ったので」
ピッチ上で熱量がほとばしった瞬間だった。