■「監督からハッパをかけられました」

 その思惑通り、鹿島は前半から主導権を握り、川崎のパス回しを封じた。強度の高い守備とボール奪取からタテに速い攻めも何度か繰り出し、名古が3度の決定機を迎えるなど、先手を取れそうなシーンもあった。

 だが、川崎も老獪な相手。36分に家長昭博安西幸輝の一瞬のスキを突いて背後に飛び出しシュート。これを早川友基がセーブしたこぼれ球にマルシーニョが反応。巧みなゴールで先制に成功したのだ。

 前半を0-1で終えることになった鹿島。
「『全部決めたら3-0だった。後半も入りから行くぞ』と監督からハッパをかけられました」と古巣対決に並々ならぬ思いを抱いていた知念慶は言う。ボランチに転身し、佐野海舟とともに相手両インサイドハーフの脇坂泰斗瀬古樹を封じていたのに、1本のチャンスからリードを許すという展開は彼自身も納得できなかったに違いない。後半の巻き返しを期してピッチに戻ったという。

 そこからの鹿島は凄まじい迫力を見せる。開始早々に相手の決定機を阻止すると、植田が思い切ったタテのフィードを出し、ここにチャヴリッチが反応。豪快な一撃で1-1に持ち込むと、この3分後にはチャヴリッチとのワンツーで左サイドを打開した名古のクロスがクロスバーに当たって跳ね返ったところに詰めていたのが鈴木優磨。これを押し込んで、後半立ち上がり5分間で逆転に成功したのだ。

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