2024年J1開幕の名古屋グランパス戦を3-0と勝利し、続くセレッソ大阪戦もドローと2戦終了時点で首位に立っていた鹿島アントラーズ。ランコ・ポポヴィッチ監督率いる新体制で好発進を見せていたが、3戦目で指揮官の古巣・町田ゼルビアにまさかの苦杯。一気に危機感が強まっていた。
「(次の川崎フロンターレ戦は)負けは許されない。リーグ戦で連敗するわけにもいかない」と関川郁真も強調していたが、3月17日のホーム・川崎戦は非常に重要な一戦と位置づけられた。
鹿島がリーグ戦で最後に川崎に勝ったのは、2015年8月29日。3-1で勝利したこの一戦に今のチームで出ていたのは、土居聖真1人だけだ。そこから9年間も勝っていなかったのだから、まさに負の歴史というしかない。
「これだけ長い間、勝てていないのは、自分たちも苦しい状況ではあった。試合前から『自分たちは勝ってやるんだ』という気持ちが全員から見えてました」とキャプテンマークを巻いた植田直通は言う。今季の川崎が低調なスタートを切っていることもあり、「今こそ天敵を叩く絶好のチャンスだ」という思いも強かったはずだ。
そこでポポヴィッチ監督が見せた采配は、名古新太郎のセカンドトップでの先発とチャヴリッチの左サイド起用だった。
「チャッキーはゴールに対して前を向かせてボールを受けさせるという彼のよさを最大限に発揮させるためにサイドに置いた」と指揮官は説明。名古と鈴木優磨をタテ関係に並べることで、守備力を高め、よりハイプレスに行ける形を採ろうとしたのだろう。