■不成績に終わると監督はクビ!王族同士の戦い
2010年以降の6大会は優勝はクウェート、UAE、カタール、オマーン、バーレーン、そしてイラクとすべて優勝チームが違う。
「それほど重要な大会ではないから」なのではない。ガルフカップでの勝敗はかなり重大で、この大会で不成績に終わると代表監督のクビは簡単に飛んでしまう。
どこが勝つか分からない大会となっているのは、互いのことを知り尽くした同士が勝負に徹して相手の良さをつぶして戦うからなのではないか。
ガルフカップは国同士の威信、いや、各国の王族同士の威信をかけた大会だから勝敗が重視される。
ガルフカップ参加国の中で共和制を採っているのはイラクとイエメンだけ(ただし、両国とも、現在は民主主義が機能しているとは言えない)。他の6か国は、世襲制の絶対君主が支配する国だ。
地方議員の選挙などが行われる国もあるが、国政は王族が独占。石油や天然ガスがもたらす莫大な収入も彼らが独占している。企業の多くも国営であったり、王族が経営を担っている。つまり、権力も富も王族が独占しているのだ。
政治的対立や政変がないわけではないが、それも宮廷革命。つまり、王族同士によるものだ。
たとえば、カタールではアル・サニ家が権力を独占し続けているが、1972年にアフマド首長が外遊中に息子のハリーファがクーデターを起こして権力を掌握。ハリーファ首長も1995年には息子のハマドによって追放されたという歴史がある。現在の首長であるタミーム・アル・サニはそのハマドの息子だ。