■今後アジアカップは「拡大版ガルフカップ」になる

 サッカー・クラブも王族の富に依存している。

 多くのクラブの会長は王族であり、王族が経営する企業がスポンサーとなっている。つまり、国内リーグの試合は会長である王族同士の競争だし、国際試合というのは他国の王族との競争であって、だからこそ湾岸諸国同士の大会である「ガルフカップ」は絶対に負けられない戦いとなるのだ。

 今回のアジアカップでの、中東諸国同士の激しい戦いを見ていて、僕はそんな「ガルフカップ」を思い出した。

 アジアカップが今大会から24か国参加に拡大したため、中東諸国のほとんどが参加することとなった。ガルフカップに参加している8か国のうちイエメンとクウェート以外の6か国が参加したし、その他シリア、レバノン、ヨルダン、パレスチナも参加。そこに、ペルシャ人の国イランも加わっていた。

 こうなると、中東諸国の感覚としてはアジアカップは“ガルフカップの拡大版”のようになるのではないか。そして、国同士の、いや王族同士のライバル心から勝負にこだわった試合が増え、その結果、いくつものサプライズが起きて、カタールとヨルダンが勝ち残ったのだ。

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