求められる「AFC東西2分割」と「新アジアカップ」開催!【日本代表「ワールドカップ」への道】(3)の画像
アジアカップとの付き合い方を考えるべき時がきた。撮影:渡辺航滋(Sony α1使用)

 サッカーのアジアカップが終了した。日本代表は8強で敗れ、大会を制したのは開催地のカタール代表だった。今大会は強豪国が相次いで敗れるなど、ピッチ上での勢力図に変動が起きた。また、ピッチ外でも、さまざまな変化が起こっている。今後、日本代表はアジアカップといかに付き合っていくべきか、また、ワールドカップ出場するために必要なものは何か? サッカージャーナリスト後藤健生がアジアカップを分析し、今後の日本が歩むべき方向を指し示す。

■「思い出される」伝統ある国際大会ガルフカップ

 カタール・アジアカップでは、中東諸国の中でもサウジアラビアやイランという、韓国、日本、オーストラリアになどの「5強」の一角を占める強豪国でなく、カタール、ヨルダンが決勝に進出した。中東諸国は、どの国も勝利を求めて必死に戦い、大接戦が続いた。

 そんな中東諸国の戦いぶりを見て、僕は「ガルフカップ」という大会のことを思い出した。

 中東8か国が参加する国際大会だ。

「ガルフ」というのは英語で「湾」。アジア大陸とアラビア半島の間に横たわるペルシャ湾(アラビア湾)のことだ。かつては、アジアの商品をヨーロッパ大陸にもたらす交易ルートであり、そして、現在では膨大な量の石油や天然ガスを産出する地域として、世界の中で重要視されている。

 ガルフカップは1970年に第1回大会が行われた伝統ある大会である。

 日本にとってのE-1選手権(東アジア選手権)のような大会ということになるが、参加8か国にとっては勝敗がかかった非常に重要な大会となっている。

 そして、ガルフカップにはペルシャ人の国であるイランは参加していないから、8か国の中ではサウジアラビアが圧倒的に強いはずだ(なにしろ、サウジアラビアはアジアカップで4回の優勝経験がある国だ)。

 しかし、これまでに25回開かれたガルフカップでサウジアラビアの優勝はわずかに3度。最多はクウェートの10度であり、2位のイラクの4度を大きく引き離している。ただし、クウェートの優勝10回のうち7回は1980年以前のことであり、その後はまさにどこが勝つか分からない大会となっているのだ。

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