■三笘と南野の2枚替えはバーレーン戦の成功体験からか

 イラン戦を語るうえで、森保監督の采配に対する疑問は外せない。指揮官自身、「交代カードをうまく切れなかったのが敗因」と認めている。

 1対1で推移する時間帯の三笘と南野の2枚替えは、直前のバーレーン戦の成功体験があったからだろう。相手に流れを持っていかれそうなところで三笘を送り出し、一気に流れを引き戻したのだった。

 三笘と南野の代わりに退いたのは、前田大然久保建英だった。前田は持ち前のスピードを攻守両面で生かしていた。前線からのプレスと素早いプレスバックは、イランを苦しめていた。久保は上田綺世と連動してプレスを仕掛けながら、決定的な場面に関わっていた。

 後半のイランが一気に圧力を強めてきただけに、交代カードを切って流れを変えたいのは理解できる。しかし、前田と久保をもう少し引っ張ってよかったし、久保ではなく堂安を下げる選択肢もあった。

 後半アディショナルタイムにPKを献上したCB板倉滉は、バーレーン戦で左足を打撲していた。イラン戦では前半24分に警告を受け、その後はデュエルの場面で慎重さが目につくようになる。そもそも相手FWとのマッチアップで劣勢を強いられており、PKを与えるより前に決定的な仕事をされてもおかしくなかった。

 交代カードは攻撃のポジションに充てたいものだが、この試合の板倉は本来の姿ではなかった。バーレーン戦で途中出場したCB町田浩樹を、後半開始から起用すべきだった。

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