■湘南への移籍に「自分が一番驚いています」
この移籍は、もっと話題になっていいはずだ。
ジュビロ磐田でプレーした昨シーズン、鈴木は右サイドバックとして38試合に先発し、チーム最長のプレータイムを残した。乾貴士(清水エスパルス)と並んで、リーグトップの10アシストを記録した。横内昭展監督から副キャプテンに指名され、ゲームキャプテンも務めた彼の存在は、2位でのJ1昇格に欠かせないものだった。
紛れもない中心選手だったその鈴木が、新天地を求めたのである。(#1、2のうち1)
話題にならないほうがおかしい。1月13日に行なわれた湘南の新体制発表会で、鈴木は移籍の理由をこう語った。
「昨年はジュビロ磐田でJ1へ昇格するという強い気持ちを持ちながらプレーして、チームのみんなと上がることができてすごく嬉しかったです。移籍するとは、ホントに思っていなかったです。湘南ベルマーレが僕のことを評価してくださって、必要としてくれて、このチームで上を目ざしたいと強く思いました。相当な覚悟を持って湘南に来たので、それをピッチで体現できるように、日々努力して頑張っていきたいです」
発表会後の囲み取材では、移籍の理由をあらためて問われた。横内監督が続投した磐田にとっても、必要不可欠に違いない選手だったからである。驚きと言ってもいい移籍について、鈴木は「僕が一番びっくりしました」と苦笑いを浮かべた。
「移籍が決まったことを家族に伝えたときに、ポカンと心に穴が空いたような感じになりました。そんなことは初めてです。それぐらいジュビロに対して、自分が変えていきたいという思いもありました。
21年にJ1昇格をつかんで、22年はJ1で悔しい思いをして、23年は何としても1年で戻るって気持ちでやっていたので。21年からの3年間でたくさんお世話になりましたし、成長させてもらいました。自分たちで頑張ってJ1へ戻ることができたので、24年ももちろん向こうで、J1でもう一回やって、強いチームを作っていきたいと、本気でそう思っていました。
でも、それを上回るぐらいの話を、湘南さんからいただいたのは事実なので、このチームで上を目ざしたいという気持ちになれたのは良かったですね」