■青森山田の最大の強み
そして、「勝負強さ」こそが、このチームの最大の強みである。
危機管理をしっかりして相手のカウンターの芽も摘み、けっして攻め急ぐことなく、「勝利」の確率を1パーセントでも高めようとする。それが、青森山田のサッカーだ。
強豪校の一つ、昌平(埼玉県)と対戦した準々決勝では、前半のキックオフと同時にロングボールを使って攻め込み、CKのこぼれ球から先制し、4分までに2ゴールを奪って圧倒的優位に立った。相手の対応が緩いことを見て、数分間で一気に勝負を決めてしまった。
決勝戦では、後半開始早々、近江(滋賀県)に同点とされたが、その後、相手のオフサイドで得た間接FKをGKの鈴木将永がロングキックで前線に送り、それを縦にシンプルにつないで相手が帰陣する前に決めて再び先行。さらに、相手CKからのロングカウンターでダメ押しの3点目を決めた。どちらも、相手を攻め崩したのではなく、相手のミスや隙を衝いての得点だった。やはり試合巧者ぶりが目についた。
初優勝した第95回大会以降の8大会で6度も決勝に進出というのはこうした勝負へのこだわりの成果だったのだろうし、逆にそうした数々の実績を通じて勝者のメンタリティーを身に着けていたからこその勝負強さでもあった。