■2つのPK勝ちに思うこと
ただ、青森山田のサッカーはあまりにも慎重すぎた。あれだけのチーム力を持っているのだから、もっとアグレッシブな戦いをしていいのではないだろうか?
今大会の青森山田は初戦(2回戦)の対飯塚(福岡県)戦と準決勝の市立船橋(千葉県)戦はPK勝ちで勝ち上がってきた。
準々決勝までは80分ゲームで行われ、延長戦もない高校選手権は弱者が抵抗してPK戦に持ち込んでアップセットを起こしやすい大会だとも言われている。そんな中で、2つのPK戦を勝ち上がってきたのは大したものだ。おそらく、PK戦の準備もしっかりと行っているのであろう。
だが、青森山田の戦力を考えれば、PK戦に持ち込まれずに相手を圧倒して勝利することも可能だったのではないか。
たとえば、準決勝の市立船橋戦。
前半11分にCKから小泉がヘディングで決めて狙い通りに先制した青森山田だったが、追撃の2点目を奪うことができなかった。というよりも、無理をせずに戦ってそのままゲームを終わらせることを考えていたように見えた。
両チームとも勝負にこだわった戦い方をした結果、準決勝では青森山田のシュートはわずかに5本。1点を追っていた市立船橋もシュート7本という結果に終わった。
そして、青森山田の狙い通りに「ウノゼロ」での勝利かと思われたものの、次第に市立船橋にチャンスが生まれ始め、79分に久保原心優のゴールが決まって、市立船橋がPK戦に持ち込んだのだ。
青森山田は、せっかくの圧倒的戦力を生かして、もっと攻撃的に戦うべきだった。