■ロシアW杯ベスト4のチームの共通点

 森保一監督が現在、代表活動のたびにターンオーバーを使っているのはヨーロッパからアジアまで帰ってこなければいけないアジア予選をどう乗りきるかという対策のためだろう。だが、集中して7試合をこなさなければならないアジアカップのような大会にも、指揮官のターンオーバーは応用できる。山本ダイレクターは「監督が採用するかどうかは別として」と前置きしたうえで、こう話す。

「2018年ロシアW杯の例で言うと、ベスト4のチームはグループリーグの中ですべてターンオーバーしています。こうした大会では強度が高いからこそ、うまく選手を休ませながら試合でプレーさせることは大事な視点だと思います。

 森保監督が言っている“2チーム、3チーム分の戦力が必要”というのは、まさしく予選でもチャレンジしていることですね。1戦目と2戦目でメンバーが多く入れ替わっても質が落ちない戦い方ができている。

 育成年代の大会でも、限られた登録人数の中で選手が疲弊しないように、うまくみんなを使っていくようにしています。大会になると強度がすごく上がって、リーグのような休みがないですから、選手のパフォーマンスが落ちないように、うまくみんなを使って持っていくことは大事なのです。もちろんみんなが同じような質の選手であることも含めてですね」

 コンディションをどう整えるかという問題とは別に、これまで日本の鬼門になってきたPK戦の対策も必要かもしれない。2011年カタールアジアカップでは韓国との試合でPK戦になった。そのときは勝つことができたが、2015年オーストラリア大会では試合を圧倒的に支配しながらUAEにPK戦で負けている。

 また、日本代表が頂点を目指すべく挑むW杯本大会においても、2010年南アフリカ大会、2022年カタール大会の2大会において、PK戦で涙を呑んでいるのだ。

「PK戦をどうするかは現場の話なのですが、当然そういうことも想定しながらやっていかなければいけないと思います。この選手はこういう状況だったらどこに蹴ってくるかという資料を、日本の分析会社が作ってくれないかと願っています(笑)。

 それは冗談としても、いろいろなディスカッションをしています。トップの選手なので、PKではいろいろなところに蹴れます。実際に世界には映像から解析する会社があるのですが、最後の選手の判断はとても大きいです」

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