■自費でワールドカップ取材

 日本のサッカー記者のワールドカップ取材のさきがけは、1966年に日本各地のサッカー関係者で構成された「視察団」に参加した中国新聞の河面道三さんという人だったが、「記者登録」で取材したのは、1970年大会が初めてのこと。朝日の大谷さん、読売の牛木さん、共同通信の鈴木(奈良原)武士さん、日刊スポーツの谷口博士さん、そしてサッカーマガジンの堀内征一さんの5人だった。

「サッカー記者」になったばかりの荒井さんは当然行くことができず、最初のワールドカップ取材が1974年大会ということになった。ただ新聞記者といっても、当時の日本のワールドカップ取材はほとんどの記者が「自費」だった。会社から休暇を取り、自分で飛行機もホテルも手配しての取材だった。荒井さんによれば、1974年から1982年までの3大会は「自費」で、会社の出張扱いとなったのは1986年のメキシコ大会からだったという。

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