■全体で担う日本サッカーの発展

 ヨーロッパのサッカーがポゼッション志向からカウンタープレスのスタイルに変化し、その波がJリーグにも及んできた。

 しかし、その影響はJ1リーグで優勝争いを繰り広げている強豪クラブだけに留まっていない。そうした新しいスタイルは、たちまちのうちに下部リーグに拡散していく。J2リーグに続いて、J3リーグやその下の日本フットボールリーグ(JFL)に拡散していった。2023年には、J3リーグやJFLのレベルアップが顕著だった。

 そして、同じような変化が女子サッカーにも見えてきたし、さらにフットサルでも同じような傾向が進んでいるのだ。

「男子のサッカーと女子のサッカーは別のもの」と思っている人もいるかもしれない。あるいは、一般的にはフットサルというのはサッカーではないと思われているかもしれない。

 かつては、実際に女子のサッカーは男子とは別のものという時代があった。いや、2011年のなでしこジャパンのサッカーにも、男子とはだいぶ異質の点も多かった。

 だが、今ではフィジカル的な相違はあるものの、同じようなコンセプトで、同じような戦術で戦う同じフットボールというスポーツになっている。そして、かつてはトリッキーなテクニックを競い合うような時代もあったフットサルも、プレー強度を高め、守備戦術を発達させて11人制のサッカーに近づいている。

 こうして、さまざまなカテゴリーの間で互いに影響を与えながら、フットボール的な考え方が日本中に浸透していって、それがいずれは日本のフットボールの文化として定着していくのだろう。

 J1リーグや代表チームだけが日本のサッカーを形作っているわけではないのである。

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