■20得点する選手の価値
得点王である必要はない。「1シーズンに20ゴール取るストライカー」がいれば、チームは大きく力づけられる。彼らは、勝点でいくつに値するだろうか。
J1が18クラブ(年間34試合)で落ち着いた2005年以降の19シーズンを見ると、「シーズン20ゴール」は延べ26人。これも「重複」があり、ワシントン(東京ヴェルディと浦和)、ジュニーニョ(川崎)、そして大久保嘉人(川崎)が2回ずつ記録しているため、個人としては23人となる。その内訳は、ブラジル人と日本人が11人ずつ、そしてケニア人(2020年に28ゴールを記録した柏のマイケル・オルンガ)が1人である。
この19シーズンで、「20ゴール以上」が複数人出たのは、ことしを含めて9回あった。そのうち2013年には、大久保嘉人(26ゴール、川崎)、川又堅碁(23ゴール、アルビレックス新潟)、柿谷曜一朗(21ゴール、セレッソ大阪)、そし豊田陽平(20ゴール、サガン鳥栖)と、4人もの「オーバー20ゴール」が誕生している。
このシーズンにそれぞれの所属チームが稼いだ勝ち点と総得点は、川崎が勝点60(3位)/65ゴール、C大阪が59(4位)/53ゴール、新潟が55(7位)/48ゴール、そして鳥栖が46(12位)/54ゴール。チームの総ゴール数に対する「オーバー20選手」のゴール数の割合にシーズンの勝点数をかけると、川崎は24.0、C大阪は23.4、新潟は26.4、鳥栖は17.0となる。
もちろん、勝点は、GK、DFも含めたチームとしての努力の結果得られるもので、けっしてストライカーひとりで得られるものではない。ゴールももちろんで、相手からボールを奪い、それを前線につなげ、シュートをするためのパスを送る選手たち、すなわちチームがなければ、リオネル・メッシの天才をもってしても11人を相手にひとりで得点などできない。それが「チーム競技」としてのサッカーである。だが上記の数字は、「チームにシーズン20ゴール選手がいる意味」のひとつを、明確に示しているのではないだろうか。
とすれば、これも「身もふたもない」話になってしまうのだが、チームの成功とは、「シーズン20ゴールの選手」をいかに獲得し、チームに持ち続けられるかに、多くの部分を負っていると言えるのではないか。