12月3日をもって、2023年のJリーグが全日程を終えた。ヴィッセル神戸の優勝や東京ヴェルディの16年ぶりのJ1復帰などの結果が出たが、Jリーグには数字だけでは測れない変化があった。2023年のJリーグを、サッカージャーナリスト後藤健生が振り返る。
■横浜FMの変化
横浜F・マリノスはヴィッセル神戸と首位を争って準優勝。もちろん立派な成績と言っていいだろう。
ただ、アンジェ・ポステコグルー監督(現、トッテナム・ホットスパー監督)が就任して超攻撃的スタイルを確立し、2019年に「J1優勝」に輝いた当時に比べると、攻撃力の形は明らかに変化している。
ポステコグルー時代の横浜FMは、両サイドバックが中盤さらに相手陣内のバイタルエリアにまで進入するような攻撃的スタイルで見る者を驚かせ、FKやCKを獲得したら相手に守備の準備をする時間を与えずにすぐにプレーを再開して崩しにいくアップテンポなリズムが非常に印象的だった。
相手チームとしては、横浜FMのやり方が分かっていても、対処することができずに崩されてしまう。そんなチームだった。
だが、今ではサイドバックの攻撃参加などは多くのチームがやっている標準的なスタイルになってしまったし、横浜FMの攻撃にもかつてのようなスピード感がなくなってしまった。
現在のケヴィン・マスカット監督の横浜FMは通常型(バランス型)のチームであり、その攻撃力は得点王に輝いたアンデルソン・ロペス、エウベル、ヤン・マテウスといったブラジル人トリオの個人能力に大きく依存している。