■決勝戦は「中原対乾」

 攻撃のキーマンはビルドアップの中心となるMF森田晃樹であり、森田より高い位置でパスワークに関わる齋藤である。そしてもうひとり、MF中原輝を忘れるわけにはいかない。

 4-4-2なら右MF、4-1-2-3なら右ウイングを定位置とするこのレフティーは、39節の千葉戦で90+2分に決勝ゴールを決め、41節の栃木SC戦では決勝点となる直接FKを蹴り込んだ。2対0で勝利した最終節の大宮アルディージャ戦でも、カットインからゴール左にシュートを決めている。そして、プレーオフ準決勝ではペナルティエリア内から強烈な左足シュートを突き刺した。夏の移籍市場で染野や長谷川とともに加入した中原は、東京Vの強力なストロングポイントとなっている。

 決勝戦では清水の左SB山原怜音とマッチアップする。同サイドのMFホナウドが加わってダブルチームで対応してくることも予想されるが、そうなれば、フリーの味方選手が生まれる。右SB宮原和也の攻撃参加もスムーズになるだろう。

 得点につながる質的優位を発揮するという意味で、この試合は東京Vの中原と清水の乾貴士の戦い、と言うことができる。2022年にJ1のセレッソ大阪でチームメイトだったふたりが、プレーオフ決勝の主役として相まみえることとなった。

 08年を最後にJ1から遠ざかっている東京Vは、試合を重ねるごとにチーム力を高め、J1昇格まであと1試合のところまでこぎ着けた。Jリーグ開幕以前から日本サッカーを牽引してきた名門が、12月2日、捲土重来を期す。

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