■東京ヴェルディが「オリジナル10対決」に挑む
かつてJ1でタイトルを争ったこともある“オリジナル10”の2チームが、J1昇格の最後の一枠をめぐって激突する。12月2日のJ1昇格プレーオフ決勝で、東京ヴェルディと清水エスパルスが対峙するのだ。
リーグ戦3位の東京Vは、引分け以上でJ1昇格をつかみ取れる。同じ条件で戦ったジェフユナイテッド千葉との準決勝は、試合の入りに課題を残した。2対0で勝利した試合後、城福浩監督は「前半の20分ぐらいまでは、もう少しピッチを広く使うべきだった。その共通意識はあったが、テンポが悪かった」と振り返った。一人ひとりのボールタッチ数が多く、テンポの良いパスワークを生み出せなかったのである。
そこにはもちろん、プレーオフ特有の緊張感があったに違いない。準決勝のメンバー18人のなかで、チーム最後のプレーオフ出場となる18年当時のメンバーはDF平智広とFW奈良輪雄太に限られる。プレーオフ進出の4チームでもっとも平均年齢の若いチーム(準決勝の先発11人は25・09歳)にとって、引分けでもOKというシチュエーションを経験できたのは、条件が同じ決勝戦を戦ううえでのプラス材料と言えるはずだ。試合の入りかたも修正してくるだろう。
リーグ戦のラスト2試合はMF齋藤功佑を2トップの一角で起用したが、準決勝ではFW山田剛綺とFW染野唯月の2トップとした。齋藤ではなく前線で起点になれる山田を起用することで、相手守備陣に高い位置から圧力をかける狙いがあったと考えられる。
千葉戦は控え選手にFW登録の選手がいなかった。リーグ戦31試合出場の河村慶人がメンバー外だったからで、その代わりにリーグ戦ラスト3試合でメンバー外だったMF長谷川竜也がベンチ入りした。
シーズン終盤は4-4-2を基本布陣としてきた東京Vだが、長谷川が出場すれば彼を左ウイングに置く4-1-2-3が使える。長谷川はインサイドハーフでもプレーでき、4-4-2にも適応する。昨シーズンは横浜FCの主将としてJ1昇格に貢献した29歳の戦列復帰は、城福監督にとって心強いはずだ。