■色とりどりのサポーター
残り1試合となったグループステージでのホームゲームは11月29日のメルボルン・シティ戦。これまでのホーム2試合では、水曜の夜間ゲームという条件の悪さがあったにもかかわらず、1万1802人(ブリーラム戦)、1万2256人(浙江戦)と、ともに1万人を超える入場者を記録した。
だがこれは、ただの数字ではない。国立競技場での開催に際して、甲府は東京・渋谷駅の構内に広告看板を出した。「Jサポに告ぐ、#甲府にチカラを」というコピーは、Jリーグの他クラブのサポーターにも応援にきてほしいという、かつて例のないものだった。これがSNSで拡散され、たちまち「有志」が現れたのだという。
𝘼𝙁𝘾 𝙘𝙝𝙖𝙢𝙥𝙞𝙤𝙣𝙨 𝙡𝙚𝙖𝙜𝙪𝙚 𝟮𝟬𝟮𝟯/𝟮𝟰
🔹🔹𝙑𝙀𝙉𝙏𝙁𝙊𝙍𝙀𝙏 𝙆𝙊𝙁𝙐🔹🔹
/
📢Jサポに告ぐ🇯🇵#甲府にチカラを
\
◥◣ 𝙃𝙊𝙈𝙀𝙂𝘼𝙈𝙀 𝙏𝙄𝘾𝙆𝙀𝙏 ◢◤
会員先行販売開始まであと2日🎫
🌟𝙍𝙤𝙪𝙣𝙙 𝟐🌟
📅𝟮𝟬𝟮𝟯/𝟭𝟬/𝟰(𝙬𝙚𝙙)𝟭𝟵:𝟬𝟬𝙆.𝙊… pic.twitter.com/fKxRHh9QVX— ヴァンフォーレ甲府 (@vfk_official) September 14, 2023
国立競技場のスタンドには、もちろん、青い甲府のユニホーム姿が圧倒的に多かった。しかしそのなかにFC東京、川崎フロンターレ、清水エスパルスなど他のクラブのユニホームを着た人びとが少なからず混じっている。Jリーグ30年の歴史で初めてのことと言っていい。
Jリーグのサポーターは世界に例を見ない存在だ。地震や水害などの災害時には、日本中のクラブのサポーターが連帯して被災地のクラブへの寄付を集めたり、ボランティアに出かけたりする。「地元のクラブを愛し、応援する」というスタンスにおいてはライバルチームのサポーターやその地元も「仲間」であるという意識があるからだ。それは日本のサッカーの大きな誇りだ。そして今回の「#甲府にチカラを」のキャンペーンは、ライバルチームの試合を自チームのユニホーム姿のまま応援するという、まったく新しく、このうえなく美しい物語を生み出したのだ。そんな声援を受ければ、選手たちが力の限りを尽くそうと努力するのは、当然のことだ。