■「“いい自分”に戻していかないとダメ」
今の鎌田はむしろ「サッリはなぜ鎌田を使わないのか」「鎌田なら低迷する今季の状況を変えられる」と周囲から期待感を寄せられている部分もある様子。だが、フランクフルト時代のように本当に自身の地位を確立しなければ、人々はそれほど長くは待ってくれないかもしれない。
だからこそ、今はシリア戦よりもラツィオに戻ってコンディションを整え、自分のストロングを出すことに集中すべきだ。1~2月のアジアカップ(カタール)も強行招集する必要はないのではないか。
森保監督はミャンマー戦で冨安健洋(アーセナル)をベンチ外にした理由を問われて「チームのため、選手のためというのは常に考えている。選手のキャリアがより輝くものになるサポートをするのも我々の役目」とコメントしていたが、それは鎌田にしても同じ。彼のキャリアが輝いて初めて、代表にとってプラスになるのだ。
「(ミャンマー戦は)勝って当たり前のゲームだし、チームとして誰が出てもできると思う。それよりも自分自身は自チームでポジションを取り直さないとダメだし、出場時間も増やさないといけないと思う。自分がやってるクラブは決して小さいクラブじゃないし、ポジション争いもある中で、自分自身が数字をしっかり残していけば、代表でも変わってくる。あいい時もあれば悪い時もあるけど、”いい自分”に戻していかないとダメかなと思います」
そう言ってパナソニックスタジアム吹田のミックスゾーンを後にした鎌田。彼の言葉を森保監督やスタッフ、そして我々も今一度、しっかりと受け止めるべきだろう。
(取材・文/元川悦子)