■「何か目に見えるものを残していくことが大事」
ただ、いずれにしても、鎌田は自分の力で苦境を打開するしかない。21-22シーズンに欧州EL制覇を達成したフランクフルトという安住の地を飛び出し、あえて「欧州CL上位常連クラブ」を追い求めたのだから、こういうリスクがあることも承知していたはずだ。
最初に移籍先有力候補と言われたACミラン、アトレチコ・マドリード行きが立ち消えになり、セリエA開幕直前にラツィオ入りしたことで、プレシーズンにマウリツィオ・サッリ監督の難易度の高い戦術を理解する時間的余裕がなかったこともマイナスに作用した。それでも、シーズン序盤はスタメンに抜擢されており、「IHで勝負できる環境に行けて充実している」と彼自身も9月代表ウイークの時には前向きにコメントしていた。
その序列が徐々に下がったのは、やはり「攻撃で違いを作る」という鎌田に求められたタスクを果たしきれていないという評価があるからだろう。
「しっかり出た時に数字を残さないといけない。何か目に見えるものを残していくことが大事」と本人も自らに言い聞かせていたが、イタリアという国は勝ち負けに特に敏感に反応するお国柄。得点を取ってチームを勝たせれば英雄とあがめられ、仕事ができなければ責任を押し付けられがちだ。