■プレーを止める反則

 さて、南アフリカとニュージーランドの決勝戦は大接戦の好試合だったとは思うが、残念だったのは当日のスタッド・ド・フランスが雨と風に見舞われたため、互いにハンドリングエラーが多く、その結果としてトライ数が少なくなってしまったことだ。

 ボールと芝が濡れているため、ボールが手につかないのである。

 4年前、ラグビー・ワールドカップが日本で開催された時には「高温多湿の環境で汗をかくため、手が滑ってミスが多くなった」と言われていた。日本がプール戦を全勝突破できたのは、こうしたホームアドバンテージを生かしたものだった。

 ラグビーでは、ボールを手で前にパスすることができない(前に向かってキックすることはできるが、キックした位置より前にいる選手はすべてオフサイドだから、キッカーか、それより後方にいた選手しかプレーに加われない)。

 そして、故意に手で前方にパスした場合だけでなく、手に当ててボールを前にこぼしただけで「ノックオン」という反則になり、プレーは中断。セットスクラムで再開される。

 つまり、雨でボールが手につかない状態ではノックオンが多くなって、そのたびにプレーが途切れるのである。だが、見事なパスがつながって「さあ、トライか!」と盛り上がった瞬間にノックオンでプレーが途切れてしまうのはなんとも興ざめだ。

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