■システム変更で攻撃に変化も
後半開始とともに、秋葉忠宏監督が動く。4-2-3-1から3-4-2-1へシステムを変更する。1トップのチアゴ・サンタナの後方に、カルリーニョス・ジュニオとMF乾貴士が立つ。乾は中盤へ下りてビルドアップをサポートしつつ、ドリブルで持ち出して攻撃を前進させる。
そうやって前線へ配球されたボールを、チアゴ・サンタナとカルリーニョス・ジュニオがシュートへ結びつけようとする。ふたりのブラジル人の距離感が近くなったことで、前半よりも攻撃の脅威度は増した。守備ブロックの内側へ侵入する機会も増えた。しかし、甲府の守備を決定的に崩すことはできない。
秋葉監督は57分、71分、79分に交代カードを切り、縦への推進力の強いDF北爪健吾や中山克広を投入する。しかしゴールをこじ開けることはできず、17年以来の「富士山ダービー」はスコアレスドローに終わった。
自身の就任後は3度目の無得点に終わった試合後、秋葉監督は「最後のこじ開けるところで少し苦労しました」と切り出し、「得点まであと一歩のところまできていますけれど、もうひと工夫なのか、強引さなのか、泥臭さなのかを含めて、ゴールをこじ開ける術をまた用意したいと思います」と話した。14戦負けなしはJ1での戦いを含めてもクラブ最多となるが、記録の更新よりも勝利がほしかっただろう。
今節は首位のFC町田ゼルビアが勝利したため、勝点差は「5」から「7」に広がった。町田は消化試合数がひとつ少なく、首位浮上のためにはここからさらにギアを上げていく必要がある。秋葉監督は「まだまだ諦める数字ではない。最後にしっかりとJ1昇格、J2優勝を勝ち取りたい」と、試合後すぐに次節へ気持ちを切り替えていた。