■日本代表の試合を見る
「ロサリオに来ることなんてもうないだろうなぁ」と思いながら、僕はブエノスアイレス行きの長距離バスに乗りました。アルゼンチンは遠いし、ブエノスアイレスまで行ったとしても、ロサリオまで足を延ばすことはないだろうと思ったからです。
2か月後、僕は「ニュウス」のスタジアムの記者席に座っていました。アルゼンチンでワールドユース選手権が開催され、グループDに入った日本チームは3試合をここで戦うことになったのです。
そして、僕はスカパー!の解説の仕事でアルゼンチンまで行くことになったのです。
日本チームには、サンフレッチェ広島の森崎兄弟や駒野友一、ジュビロ磐田の前田遼一、当時はまだ横浜F・マリノスにいた石川直宏などがいましたが、オーストラリアとアンゴラに連敗。最終戦でペトル・チェフがゴールを守るチェコから3ゴールを奪って快勝しましたが、グループリーグ敗退に終わりました(日本がこの大会以降グループリーグ敗退となるのは、22年後に同じアルゼンチンで開催された2023年大会まで一度もありませんでした)。
スカパー!の番組で一緒に解説をしていた原博実さんは、石川直宏のプレーを見て「いいねぇ、いいねぇ」と感心していましたが、2002年にFC東京の監督に就任した原さんは早速、石川を獲得。その後、石川はFC東京のレジェンドとなっていきました。