■意外なW杯第1号
さて、ワールドカップのハットトリック第1号は誰かというのは、かなり高度なクイズになるのではないか。それよりも、どこの国の選手かという問題にしたらいいだろうか―。正解は、バート・パテナウデ、なんとアメリカ代表選手なのである。
1930年の第1回ウルグアイ大会。第4組の初戦でアメリカはベルギーを3-0で下し、パテナウデは3点目を記録。続くパラグアイ戦(7月17日、パルケ・セントラル・スタジアム)では前半10分、15分、そして5分にゴールを記録してアメリカを3-0の勝利に導いた。
この2日後にアルゼンチンのギジェルモ・スタビレがメキシコを相手に3得点を挙げ、ワールドカップで初ハットトリックかと騒がれた。当時は記録が混乱しており、パテナウデのパラグアイ戦の2点目は相手のオウンゴールであるという説と、同じアメリカのFWトム・フロリーの得点という説もあったからだ。FIFAが正式にこれをパテナウデの得点とし、彼を「最初のハットトリック」と認定したのは、2006年11月のことだった。