大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第119回「帽子詐欺?」(3)76年後にようやく認定された「ワールドカップ第1号」の画像
ワールドカップでのハットトリック第1号は?(写真はイメージです) 撮影:中地拓也

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト・大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回は「大事なのは帽子ではなく、その中身」―。

■国際試合初の記録

 サッカーの国際試合で初めて「ハットトリック」を達成したと言われているのがスコットランドのジョン・マクドゥーガルである。1878年3月2日、スコットランドのグラスゴーにある旧ハムデン・パーク・スタジアムに1万5000人の観衆を集めて行われたイングランドとの定期戦。マクドゥーガルは前半7分に先制点を挙げ、41分に自身2点目(チーム4点目)、そして後半立ち上がりに3点目を記録した。試合はスコットランドの7-2の勝利だった。

 ワールドカップでは過去54回ハットトリックが記録されている。最新は昨年の大会の決勝戦でアルゼンチンを相手にフランスのキリアン・エムバペが記録したものだったが、2点はPKによるものだった。決勝戦でのハットトリックは1966年大会のジェフ・ハースト(イングランド)に次ぎ2人目。ともに延長戦まで戦ってのハットトリックだった。

 ワールドカップで2回のハットトリックを完成した選手は4人。ハンガリーのコチシュ・シャンドール(1954年大会)、フランスのジュスト・フォンテーヌ(1958年大会)、西ドイツのゲルト・ミュラー(1970年大会)、そしてアルゼンチンのガブリエル・バティストゥータ(1994年大会と1998年大会)である。3回達成した選手はまだいない。

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